地産地消を実現する方法としての最低価格規制
仮想都市を運営していくにあたって必要だと思ったのが、ある程度自分の都市で自前で食料を生産する能力を確保するという事。
つまりそれは都市毎の食料自給率を100%以上にするという事で、どの都市でもちゃんと農業をやって食料は基本地産地消でやっていきましょうってことです。
自由主義経済においてそんなことが可能なのか?っていう問いへの解答が、食料品の最低価格を決めてそれ以下の価格で売買することを禁止する、ということです。
なので最低価格より安い値段で作っても店頭販売時の値段は一律で最低価格に統一されることになります。
高級品という事で最低価格より高い値段で売るのは問題ありませんが、日用品的な食品については大体最低価格で販売されるでしょう。
というわけで値段は統一されますが、だからといって競争要素がなくなるわけではなく、味とか安全とか健康とかで競い合っていくことになります。
そして地元の商品の方が新鮮さとか嗜好の地域性とかで優位に立てるから、結果として地元の商品が選ばれるって寸法ですね。
最低価格規制よる公務員化
この食料品の最低価格規制をすることによって民間によるスーパーマーケット事業は存続出来なくなる、というか民間で行う意味がなくなります。
何故ならあれは基本的に如何に安く仕入れて安く売るかを競う事業ですから、値段が統一されてしまっては競争出来なくなる、つまり経営者的に工夫する余地がなくなり右から左へ機械的に商品を流すだけの仕事になっちゃいますので公務員でよくなります。
そして農業事業者も必然的に公務員化します。
高級品の枠で農業やっている場合は別ですが、日用品の枠だと頑張っても頑張らなくても同じ値段になるからです。
まぁスーパーに関しては影響があるのは経営者のみで現場で働いている従業員のやることは何も変わらないので公務員化しても特に問題はないでしょう。
ですが、農家の方はちょっと未知数ですね。
日本の農家って基本的に経営も農作業も全部自分でやってるイメージがあるので、公務員化してモチベが下がらないか心配ではあります。
モチベが下がったらやる気のある奴と入れ替えりゃいいと思うかもしれませんが、元々やる気があって農業やってる人からモチベを奪ったわけで、入れ替わりで新しく農業始めた人にそれ以上のやる気を期待するのは正直難しい。
そしてモチベが下がり仕事の質が下がるってことになってしまえば、それは改悪ってことですからね。
そうならないように対策案を考えてみました。
食料自給率200%&バイオエタノール案
今はフードロスはダメって観点から品目毎の食料自給率が100%を超えないように調整されています。
米の減反政策とかまさにそれですね。
これを少なくとも穀物に関しては食料自給率が200%を超えるぐらいまで生産して、その中でよりたくさん売れた生産者がより多くの報酬を得られるようにすれば競争の仕組みを維持できるんじゃないかと思いました。
自給率が100%ちょうどぐらいだと不味いものを作っても最終的には買われてしまうので競争にならないんですが、200%以上だと半分は食べられないので十分競争になります。
勿論それだと毎年大量にロスが発生するわけですが、余った分は一定期間備蓄に回した後バイオエタノールにすることで何とか出来ないかなぁ?ってところまでがこの案になります。
バイオエタノール案とその課題について
正直思いつきでのバイオエタノール案ですから箇条書きで思いついた課題や疑問点をピックアップしていきましょう。
- バイオエタノールはトウモロコシやサトウキビからの生成が主流みたいだけど米でも出来るの?
- エタノール抽出後の廃棄物処理(特に米を使った場合)はどうなるの?
- コストはどれぐらいかかる?原資は食料の生産から販売までで得られる利益だが、それで運用は可能か?
まぁこんなところですかね。
これに全部対応OKってなれば実現可能って考えていいかな?
ちなみに一般的に言われているバイオエタノールの課題である「食料品不足との競合」については過剰生産分についての利用なので問題になりません。
むしろ食料品不足に陥った場合は元が食料として生産されているので余った分を輸出やら備蓄やらに回せるのでその辺の問題解決に寄与できますね。
それではピックアップした課題や疑問点をちょっと見ていきましょう。
米からバイオエタノールは出来るのか?

上の図を見ると③⑤⑥番の事業で米を使ったバイオエタノール事業が実施されているみたいですね。
チャレンジしているところがそれなりにあるから少なくとも米を使ったバイオエタノールが全くの論外というわけではなさそうです。
まぁ米から酒作ってるわけですし、検討に上がるぐらいは当然っちゃ当然かもしれません。
一応用語の説明をしますと、各事業の説明で所々「E3実証」という文字があるのですが、これはバイオエタノールをガソリンに3%混ぜて問題なく走行できるかの実験を指すみたいです。
これがE10なら混合率10%ってことになります。
廃棄物処理について
他サイトからの引用:第7章 米からエタノールとエサをつくる地域循環実証プロジェクトの取組
まぁ詳しくはリンク先で確認してくださいって感じなんですが、一応ここで欲しい情報だけまとめると、米のバイオエタノール生成で発生するゴミ(蒸留残さ)は石鹸とか化粧品とか鶏のエサとか、まぁ色々活用出来るみたいです。
ついでに最後の方で事業採算性についても触れられており「原料米を40haで1,000kg/10a生産、エタノール製造プラントは日量1.2トン処理規模」でさらに「製造したエタノールを工業用原料と
しての利用割合を高める」という条件で「事業収支が均衡する事業展開ができることが分かった」らしいです。
これは30万都市の自給率200%の米生産量と考えたら余裕でクリアできる数字(一人当たりの年間米消費量を30kgと仮定して30万人なら9000t、そして400tが採算ライン)なので、バイオエタノール事業は意外と採算性の面でも結構いけるのかもしれませんね。
とはいえ沢山作られるという事はそれだけ蒸留残さも出るという事なので、石鹼と化粧品と鶏のエサが大量に余る事態は避けたいですから蒸留残さの使い道はもっと開拓する必要がありそうです。
採算性はどうなのか?
この仮想都市計画におけるバイオエタノール事業は赤字上等の事業ではあるのですが、先程の廃棄物処理の項での副産物として、意外と採算性も高いのでは?という情報も得られたので、実際今現在のところどうなのか?っていうのを一応調べてみました。

最初に「ほぼ全ての事業が継続を断念」とまとめられているのですが、その後の括弧で「地産地消している事例は継続」とあり、地産地消ならいけそう感が出てます。
また北海道の事例では構造的に黒字化は難しそうですが、沖縄の事例では安定して数を供給できればいけそうな感じが出ています。
特に沖縄の事例でE3のシェア率1割越えってのは結構すごい事なのかも?
エタノール混合率3%でシェア10%ってことははガソリン全体からすれば0.3%しかないわけですが、不純物の混じったガソリンを10%の人が使っているって考えたらかなり普及していると言えるでしょう。
世界各国の動向

上の図は輸出量からバイオエタノール産業はブラジルとアメリカだけが突出しているってことを表しているのですが、突出しているという事はこの二国だけがバイオエタノール事業を採算のとれる事業にすることに成功したと解釈する事も出来ます。
まぁこのグラフは一部の国しか載ってなくてアレなんですが、世界のバイオ燃料 生産量 国別ランキング・推移で世界ランキングが把握できるのでそれと合わせて何故この二国だけがバイオエタノール事業で成功したのか考察していきましょう。
まずブラジルとアメリカが多い理由ですが、まぁどちらも資源大国で農業大国ですから当然と言えば当然なんですが、同じように大国であるはずのロシアとオーストラリアがランク圏外と圏外間近なんで、単に農業が盛んな大国ってだけじゃ説明が付かないですね。
ランキングを見ると3位がインドネシアで4位が中国5位がインドと1位から5位まで全て人口稠密地域になっています。
インドネシアとかランキング3位ですけど輸出入においては全然なので、という事は作ったものは全て国内で消費しているという事になりますね。
以上からバイオエタノール事業には農業が盛んである事と同時に人口稠密であることも必要だと言えそうですが、要するにそれってまぁバイアス掛かった見方にはなりますが地産地消に向いてる事業だと言うことも出来そうです。
まぁそれだけだとブラジルとアメリカだけが突出している理由にはならないので、もう少し考察が必要ですね。
ブラジルはサトウキビでアメリカはトウモロコシという感じで分かれているんですが、どちらも主食ではないですね、ここが大きな理由なのかな?と思います。
要するにサトウキビやトウモロコシがバイオエタノール事業で有利なのって、米とか小麦みたいにガッツリ主食に絡んでくる品目を転用したら、いざ米不足とか起こった時にスケープゴートにされるから使いにくいってこと、つまり感情的に食べ物を燃料に転用することがまだまだ人々から受け入れられてないからじゃないかな?ってことです。
そこさえクリアできれば日本での米を使ったバイオエタノール事業も上手くいきそうな気がします。
元々日本は人口稠密地域で仮想都市計画の自給率200%状態なら十分採算ラインを超える量を確保できます。
そして国民感情という点でも自給率200%の圧倒的食余り状態を実現できれば流石に燃料への転用に関しても分からせられるやろう。
最低価格規制で実現したいこと
ここまで食品の最低価格規制とそれが上手くいきそうな案を見てきましたが、実はこれには明確な弱点があります。
それは食料価格が今よりも格段に上がるということです。
これに関してはバイオエタノール事業がどれだけ採算性を高められるかにかかっているのですが、まぁ200%ってことは少なくとも2倍の生産量とコストがかかるわけで、そこに輸入から国産に代わる分の増額も加わります。
仮にバイオエタノール事業が全く金にならない事態を想定すると3倍程度まで膨れ上がるかもしれません。
逆に採算性で黒字を出せるとかなれば1.5倍ぐらいかそれ以下までに抑えられるかもです。
ただ、どんなに上手くいっても市場価格より少なくとも2割程度は割増しにするつもりです。
これは儲けとか必要経費という視点以外に最低価格規制を導入する法的根拠が必要だからです。
ようするに食品を作る業者に国としてやらせたいことがあって、その為にはコレだけの費用がかかるので、最低この値段で売る必要がある、というのが最低価格規制の根拠になります。
なので市場価格と最低価格を同じにしてしまったら、国としてやらせたいことはない(あるいは無料で出来る)のに価格を規制するってことになるので、それだとおそらく他の法律とかに抵触するでしょう。
国としてやらせたいことの内容は、まぁ食の安全安心とかに金をかけるのが無難だとは思うんですが、筆者としては農業従事者の比率をもっと上げたいという意図があります。
現在第一次産業従事者の比率は4%らしいんですが、これを少なくとも10%、出来れば20%近くまで上げていきたい。
自給率200%な上バイオエタノール事業も新設されるからそれだけでもかなり増えるとは思いますけど、そこから更にもう一声欲しいわけですよ。
資本主義というか人間の欲の悪い側面だと思うのですが、インフラ系の仕事って特に労働環境とか低く抑えられがちなんですよね。
大事なものだと皆認識はしているんですが、あって当たり前やって当たり前出来て当たり前になってしまって、それらの仕事が評価されにくくなっている。
その結果安全安心は当たり前と認識されて値段しか評価されなくなり、より少人数でより効率よくより安価に、という方向にのみ進化することになる。
普通に考えてごく少数の一部の人間に食の全てを委ねるって恐ろしくないですか?
しかも世間はその人間の仕事ぶりを評価せず、安価でこき使って搾取する構造なわけです。
携わる人間が少なければ少ないほど、一人が裏切った時の被害は甚大になるわけで、だから農業従事者の比率をもっと上げたいと思ってるわけですね。
人数が増えればそれに伴って政治的発言力も増すので、仕事に対する無理解や搾取といったヘイトを溜める要素も改善されていくでしょう。

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