都市構造モデルの考察と鉄道輸送の特徴について

都市構造モデルの考察

上は筆者の考えている将来的な都市の構造を妄想した図です。
まぁ別に何の変哲もない普通の都市のモデルと言えなくもないです。
一応説明しておくとCBDというのは中央ビジネス区みたいな意味で、中心街の周りに住居とかそれに伴って必要な施設が点在するエリア、その周りの農は近郊農業ですね。
東京みたいな大きな都市はある意味既にこういう構造になっていると思いますが、筆者としては人口30万人ぐらいの規模の都市でこういう構造を作っていこうという意見です。
まぁ農地は必ずしも住居の周りを囲んでいる必要はなくあくまで住宅地区の外側に存在するという意味合いでいいですが、CBDと住宅地は必ずこの構造でなければなりません。
そして中心地から住宅地の端まで半径5kmぐらいの同心円の形で広がっているという感じです。
このモデル構造は現代においては大都市では規模がでかいので結果的にこれに近い構造になっていますが、中小都市ではそうはなっていないです。
というわけで現代の中小都市とこのモデルとの違いを見ていこうかと思います。

コナベーション

コナベーション(連結都市)というのは都市と都市の間で建物のある景色が途切れることなく続いている状態を指していると言っていいでしょう。
先程のモデルでは農地も都市の一部としてカウントしていましたが、コナベーションの概念においては流石に農地は都市としてはカウントしません。
なのである都市のCBDから次の都市のCBDまでずっと建物が途切れない状態ということになります。

このコナベーションですが、これが雪だるまみたいに円同士がくっついた形なのであれば自然に都市がでかくなってくっついたと言えるのですが、実際は上のように鉄アレイみたいな感じの構造になっていることが多い。(鉄アレイ型になっている具体的な調査結果とか裏付けはありません)
なので何らかの力が働いてこの二都市は連結した状態になっていると言えます。
その何らかの力の筆頭に来るのが都市と都市とを結ぶ道路なわけですね。
昔から東海道沿いとかが宿場町として栄えたように主要道路沿いというのはそれだけで発展する要素になるのです。

単一道路型

このタイプは特に名前は付けられていないのですが先程のコナベーションとは道路由来という点では同じになりますね。
ただこちらは単一都市での形成という事になりますが。
まぁ規模が小さすぎて都市というより集落と言った方がいいかもしれません。
これは道路を目的に集まったというより主要道路沿い以外の人が住めなくなって離れて行った後、つまり過疎化が進行中というかここまでくるともはや手遅れって感じが表れています。

ニュータウン

都市の郊外の安い土地に新たに宅地区画が造成されたパターン。
高度経済成長期~バブル経済ぐらいの時期に政治家にとって旨味のある開発だからと沢山許可され作られ、その時入居した層が今一気に高齢者になっているという事で今現在問題になっています。
よくそこそこ人口がある街に住んでる人が「田舎は車がないと生活できない」とかいうフレーズを使ってたりしますが、大体このパターンなんですよね。
実際は別に人がいない程田舎ってわけじゃないけど、わざわざ不便な場所にわざわざニュータウンを作ってわざわざ大量の人間をそこに押し込んでしまったから。
結局不便な場所だから土地も安いわけだし不便な場所だから交通機関も発達しにくい、そんな感じで人口はそこそこいるのに車がないと生きていけない奇妙な街が出来てしまうんですね。

ニュータウン再生について – 国土交通省

筆者がニュータウンで問題視しているのが、行政側が未だに「高い公共施設整備率を誇る優良なストックであり次世代に残すべき優良な資産」という認識を持っている事ですね。
これを書いた人に「本当に優良な資産と思ってるならお前個人でニュータウンの物件買ってみろよ」と言いたくなります。
「お前が自分で買えないのはお前自身が価値を認めてないからだろう」と。
実際このニュータウンというのは地理的に人が集まる要素が何もない所を無理やり開発して作った場所です。
役割的には震災で作られた仮設住宅みたいなものなんですよね。
人口爆発で都市の中に入りきれないから一時的に離れで暮らしてくれみたいな。
だから時期が来て都心に住めるようになったら本来取り壊すべき存在だし、そういう前提で運営しなきゃいけなかった。
人と設備が揃っているだけで街が維持できるってんなら石炭採掘で発展した街とかも滅びずに残っているはずなんですよね。

以上中小都市の類型を見てきましたが、どれも道路依存車依存が都市の成因とか問題に大きく絡んでいましたね。
そこで鉄道をもっと積極的に使っていけば色々問題解決しそうじゃね?という考えが生まれるわけです。
というわけで次から鉄道という交通機関の特徴とかを見ていこうと思います。

鉄道輸送の特徴

鉄道の長所と言えば何と言っても高速大量輸送です。
鉄道の高速大量輸送がどれぐらい凄いかというと、例えば通勤手段が自家用車主体の地方都市だと人口30万人程度の都市でも朝夕のラッシュですぐに渋滞してしまいますが、鉄道主体の東京圏では毎日朝夕二回の1000万人単位の移動を数時間で完了させてしまうわけです。
これを全部車でとなると単純計算で30万都市の30倍の交通量になるわけだから、道路幅は最低でも片側30車線以上は必要という事になりますね。
まぁそんな感じで輸送力という意味では圧倒的な鉄道輸送ですが、戦後の日本の歩みはモータリゼーションという言葉が示す通り、自動車を中心に発展してきました。
効率を考えれば都市間の輸送は鉄道に任せて自動車は都市内の輸送に専念する方が良さそうに思えるのですが現実はそうはならなかった。
それは都市内も都市間も全部車に任せた方が実際には効率が良かったって事を表しています。
ちなみに鉄道だと貨物列車一本で最大650トンの荷物を運べるそうですが、トラックだと一台で10トンぐらい、つまり貨物列車一本でトラック60台分ぐらいの人件費やら燃料費やらを削減できるにもかかわらず、それでもなお車の方が効率がいいという事になりますね。

鉄道輸送が発展しない理由

日本で都市間の輸送において鉄道よりもトラックの方が発展した理由は一言でいえば個々の小さな需要をまとめることが出来なかったからでしょうね。
日本は民主主義ということは経済活動も個々で勝手にやるという事なので、需要もそれぞれ個々で発生することになります。
つまり一つ一つの契約は小さいので、鉄道のメリットである大量輸送の大量に至る分の需要をまとめるのがコストになるということですね。
まぁ都会であれば鉄道分の需要を生み出すこともそう難しくはないと思いますが田舎だと相当厳しい。
だから都会と田舎を結ぶ鉄道ネットワークというのは発展しにくい、リニア構想が実質東京ー名古屋ー大阪の三大都市しか相手にしていないのはそういう事なんです。

しかし通勤においては大都市と田舎を結ぶ形で現状鉄道が活躍していますね。
それは人間が本当に都合のいい感じで乗り降りしてくれるからです。
乗車率300%の満員電車の停車時間一分以内で乗り降りを完了して安全に発車出来るって、外国人が驚く定番みたいな感じになってますけど、まぁそれだけヤベェってことなんでしょう。
だから通勤電車で仮に下の図みたいな舐め腐った蛇行ルートを取ったとしても、それでもなお鉄道の方が効率がいいってことになります。

しかし人間以外の荷物はこうはいきません。
普通の荷物は勝手に乗り降り出来ないので多大な時間をかけて荷物の積み下ろしをしなければなりません。
つまり通勤電車のように各駅停車で少しずつ需要を集めるという手法が取れなくなります。
なので現実では貨物の駅自体が人用の駅と比べてとても少ないです。(下の図はJR貨物のHPから引用。北海道の貨物の全拠点がこれだけしかないという事です)
そのことが鉄道輸送の不便さにより拍車をかけているといったところですね。

おわりに

というわけで最初に紹介した都市モデルに戻ります。
中心部の地価を下げて中心部に人を集めることで人口30万人程度の都市でも大都市並みの需要を駅に集めることが出来ると踏んだわけですね。
今の日本の地方都市は政治的判断の失敗によって中心部の地価が高止まりし、そして中心部から人が離れてしまうという本末転倒な状況が生まれていますが、それを解消してちゃんと中心部に人が集まる状況を作り出せば駅から近い場所に大量の需要が発生することになるので鉄道輸送も捗り、それによって車依存の都市構造から脱却できるというわけですね。

とはいえ各都市の人口を中心部に集めるだけで全て解決できるとは流石に思えません。
現実的には都市そのものを統廃合していく、生きのこる都市と生きのこることが出来ない都市を剪定していく必要があるでしょう。
次回はその辺の剪定の判断材料についてどうすべきか見ていこうと思います。

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