今回は前回やったインフラ側のシステムを解説していこうと思います。
何を公にして何を私にするかっていう判断基準はちゃんと載せておかないとインフラエンタメで分けた意味がなくなるからね。
公営企業は民間の参入を妨げてはならない
まずは便利だからって何でもかんでもパブリック事業にしてしまうのは良くないし、パブリック事業化しても民間の参入を妨げてはならないという例を紹介しましょう。
郵便事業が民間の参入を妨げている事例
例えば「隣の家に手紙を出そう」という話で、自分で直接隣の家に持っていく分には問題ないですが、他人に配達してもらうのであれば郵便局を通さなければいけない、という法律があります。
なので隣の家に配達するのに一旦遠く離れた郵便局まで手紙を運んで、その後仕分け作業をしてようやく隣の家へ配達するという流れになります。
まぁそういう風にシステマチックに仕事の流れを構築してしまったら、逆に無駄な仕事が作られてしまった、なんてことは往々にしてよくあることです。
この郵便法という法律は憲法21条の通信の秘密を根拠に制定されたんですが、昭和22年制定ということで当時と今では通信環境が全く違います。
ですから今時手紙のやり取りで意思疎通しようなんて人はあんまりいないので、憲法に規定されている通信の秘密を守るためには根本的に法律を作り替える必要があるんですが、やりたくないのか未だにやってないんですよね。
今の郵便法だと全ての「信書」と呼ばれる手紙(信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」という曖昧な表現)が通信の秘密を守らなければならない対象になっているのですが、プライバシーの権利が「自己に関する情報をコントロールする権利」であるように、全ての手紙を秘密にする必要はなく、むしろ秘密にするか公開するか選べるような状態にするのが大事です。
なので郵便法でやるべき法改正というのは、秘密にしたい文書のみに限定して通信の秘密を守ることであって、それ以外の手紙のやり取りは民間にも自由に開放すること、これに限るわけですね。
この法改正をしない理由は郵便局の仕事の大半がなくなってしまうから、要するに雇用が大量に失われるのを恐れてです。
そういう理由であれば雇用への影響を最小限にするため予め法改正の時期等を調整し少しずつ雇用を減らしていくというソフトランディングの準備をしなければいけないのですが、そういうのもしないままただいたずらに何十年も時が過ぎていったと。
この改正改革に対する動きの悪さがパブリック事業化することの問題点の一つです。
「選択肢の提供」が「手段の強制」に変化する
先程の郵便法の問題は「秘密の通信手段を用意して国民に提供しなければならない」という憲法上の義務を「国民は国の用意した秘密の通信手段を使わなければならない」という意味に勝手に変えて強要している点に問題があります。
その一例がクロネコメール便の廃止問題です。
要するに郵便局じゃない一般企業が手紙の送付を事業として行っていたわけですが、その事業は違法だから止めろと国から求められて止めざるを得なかったんですね。
このように本来は「選択肢の提供」が目的だったにもかかわらず、結果として「手段の強制」になってしまうのも事業を公共化する際によく起こる現象になります。
現実の共産主義国家が自由がない国になりがちなのも同じ理由ですね。
なのでこういう事が起こらないようなシステムにしないといけません。
具体的には民主主義における自由とはで話した「弱い方に徹底して与えられるチャンス」と「平等なルール」という概念に沿ってシステムを構築する必要があります。
要するに民間が公共の競争相手として新たに登場し市場経済の中で戦うということを認めなければなりません。
民間の参入を認めることで、たとえ公共側が負けて大量の失業者が発生し大きな社会変革を迫られる結果になったとしても、それは市場が選んだ結果なので受け入れなければならないのです。
公営の条件
後発の新規参入を認めることは絶対条件
というわけでインフラ産業の公営企業を作るのに必要なのは、民間企業の新規参入を認める、ということになります。
あくまでも新規参入を認めることが必要なのですから、JRとかNHKとかそういう官製の民間企業を作って「民間企業と競争してるから新規参入を認める必要はない」なんて言い訳は通用しません。
そしてあくまでも認めることが必要なので、参入希望がなければわざわざ民間の対抗馬を作る必要もなくて、公営一本で市場独占状態になってもOKになります。
というかおそらく最初は既存の民間インフラ企業を吸収合併して業界を再編することから始まると思うので、多分公営のみの独占状態になるでしょう。
最初はその状態が心地よく、全てが上手く回っていくので、おそらく対抗するような企業も現れないと思います。
しかし、時間が経って組織が腐ってくると、公営企業への不満から民間による新規参入が試みられるようになっていきます。
そしてそれを公営企業側は邪魔をして新規参入を締め出すことで自らの組織を存続させようと足掻くわけです。
公権力を持った既得権益側のそういう無駄な足掻きを止めさせるためには、システム的に足掻くことが出来ないようにするのも一つの手で、実際ここでもドラフト制度の導入で情報公開を促したりとか、食糧自給率を200%にして市場の競争環境を維持するとか、色々工夫した案を提示してきました。
しかし、システム云々よりも前に民主主義についての基本的な考え方、つまり「弱い方に徹底して与えられるチャンス」と「平等なルール」という概念をしっかり国民に理解してもらうことの方が大事になってくるのかなと思います。
前回やった、我々は買い物を通して毎回選挙をしている、という考え方もここでは特に重要で、そういう風に考えられれば決して新規参入を拒もうなどという邪悪な試みが幅を利かせることはないでしょう。
公営適性のある分野
とはいえ、頻繁に新規参入によって経営状態が揺さぶられることも、安定を求めて公企業に応募した労働者達からしたら面白くない話になります。
ですからインフラ産業として公営化するのに必要なもう一つの要素として、その業界全体に進化する余地がもうない状態であることも大事なのかな、と思います。
この辺を「家電を作る製造業」と「日用品を売る販売業」との比較で考えてみましょう。
まず、「家電を作る製造業」も「日用品を売る販売業」もどちらもエンタメ側ではなくインフラ側であることに疑いの余地はないと思います。
ですが先程の進化の基準で考えると、今のところ「家電を作る製造業」は公営には適さず、「日用品を売る販売業」は公営適性があると言えるのかなと。
家電の製造業が進化を続けていると言える根拠
家電って今のところ一度買ったら永久に使えるわけじゃなくて、ある程度年数が経ったら買い換えるのが普通です。
壊れても直して使い続けたいと思っても部品の保有年数とかあって、それを過ぎたら部品が手に入らず直せなくなります。
こういう風に絶えず買い替えを求めるシステムになっていて、消費者もそれを受け入れている、それこそが未だ進化を続けている証拠と言っていいでしょう。
もし進化を止めてしまったら必ず今使っている馴染みの家電を修理して使いたいという声が高まってくると思います。
それにメーカーが対応しなければそういう需要を吸い取った新規企業が表れるだけです。
ですから家電の製造業は今のところは進化を続けている業種とみなしていいのではないかと思うのです。
日用品の販売業の場合
一方で日用品の販売業に関してですが、進化している何らかの目ぼしい要素はあるでしょうか?
そもそも販売業における進化ってどんなものなのでしょうか?
例えば戦後の歩みとしては、駅前商店街に店舗が集まる形態からスーパーマーケットという形態に変化しました。
こういうのは確かに進化というか変化というかまぁそんな感じで考えていいでしょう。
ですがそれ以外に何かあるでしょうか?
そして商店街からスーパーマーケットに変わったような変化が今後起こると思いますか?
商店街形式からスーパーマーケット形式に変わったのは、おそらく自動車が普及したことが原因なんですが、それと同じかそれ以上の移動手段の革命が起こればそういう変化もあるかもしれません。
例えば「どこでもドア」のような。
「どこでもドア」が普及すればわざわざ各地に店舗を配置する必要がなくなりますから、スーパーマーケットという形態は廃れてしまうでしょう。
ですが逆に言えばそれぐらいのレベルの移動手段の革命が起こらないとスーパーマーケットという形態から別の形態へ変化するのは考えにくいということですね。
進化を続けている方が優れているわけではない
言い方が悪いせいで何となく販売業のことを悪し様に言ってるように見えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
どんな業種でも永久に進化し続けるものはなく、伸びしろがなくなれば自然と進化も止まり、その後安定期に入ります。
進化し続けるから良いとかの話ではなく、分かりやすく例えるなら先進国と発展途上国の違いみたいなものです。
先進国は進んではいますがこの先の進化の余地はない、発展途上国は今は遅れてはいますが伸びしろが沢山ある、そしてどちらが良い悪いとかではない。
家電の製造業は未だ発展途上にあって、日用品の販売業は既に先進状態にあると考えてもらえればいいと思います。
そして今はまだ発展途上の家電製造業もいつまで進化を続けられるか、これは誰にも分かりませんし、もしかしたらもう既に進化の余地はないかもしれません。
↓の動画はあくまで噂程度の話ですが、この話も実現すれば進化を止めた事例の一つに数えられるのかもしれません。
マーケットを作り管理運営し秩序を作り上げていく
以上のことを踏まえると、国は産業における製造→流通→販売の工程の中で、流通と販売を主に担うべきなのが分かると思います。
ただ、流通と販売の部門においても民間による参入意思があれば妨げてはならないので、やるべきことは商売をするためのマーケットを作ってそこを管理運営していくことではないかと。
これの分かりやすい例を挙げるとすれば電力会社の発送電分離ですかね。
発送電分離の解説を少しすると、それまでは電力会社は作った電気を売るために各地に電線を張り巡らせて送電網を作り整備していたわけですが、分かりやすく言うとその作った送電網を電力会社の私有物とするのではなく公共の財産にしましょうって話なんですよね。
送電網を公共物にして皆に平等に開放することで、再エネとかで発電事業を始めた新規事業者が参入できるようになる、ということを見越しての導入になります。
もう一つ分かりやすい例を挙げるとすれば、異世界なろうアニメとかでよくあるギルドとか。
あれって一般市民が何か困ったことがあったらギルドに依頼を出すんですが、ギルド側は依頼を受けても依頼内容を自分で処理せず掲示板とかに掲示して冒険者とかが依頼を受けてくれるのを待つって感じで、要は単発仕事限定のハロワみたいなもん。
つまり、「何でも屋」という商売をやるためのプラットフォームを作ってそれを管理運営している組織がギルドだという風に見なすことが出来そうです。
もう一つ例を挙げましょう、自動車の運転免許とか我々にも馴染み深い例ではないでしょうか。
運転免許というのは要するに公道を走るための免許ということになります。
だから私有地内を走るのであれば無免許でも問題ありません。
国が公道を整備して民がその道路を使って営みをしていくわけですが、その代わりに車で公道を走る際には道交法など守らなければならない義務が課されています。
今挙げた3つに共通しているのが、誰でも自由に参入できる点と、商売を営むための地盤が整備管理されている点、そしてその代わりに民の方は公側の秩序を守るという仕組みが出来あがっているということです。
公としてそれぞれのインフラ業界の市場に参入する際には、こういう仕組みを作ることに注力しなければなりません。

コメント